私の体臭戦記④を記載した後、いつも通りの臭い増加による辛くストレスフルな夏を迎えた。ジアイーノよりも夏の私の方が強者だったらしい。そして私は新たにバイオの力で体表面からの臭いを抑える試みに挑んでいた。
結果的には期待に反した流れとなり、状況は目に見えないバイオとの戦いへとシフトしていった。
メキシコからの小児科医との出会い
そんな中、今年10月に相方友人のメキシコで小児科医を務める女性が旅行で来日した。
聞けば彼女は、微生物学も学んできたという。バイオとの戦いに憔悴していた私にとっては、是非とも会いたい人だった。(彼女の事を今後、文中ではRドクターと示します)
そして10月半ばの週末、ディナーを新宿で共にする事に。
相方とRドクターは日中、二人で鎌倉を旅してきていたのだが、そこでも相方経由で私の臭いについての状況説明が進んでいた。
そして待ち合わせ場所で会った際、程なくして私の臭いの話になった。Rドクターは「魚臭症の検査は受けた?」と聞いてくれた。「一度受けて該当しなかった」と答えると、「一度だけじゃ分からない事があるから、もう一度受けた方がいいよ」
とアドバイスをくれた。聞けば彼女の同僚に魚臭症の人がいるそうだ。彼女にとっては身近な疾病なのだと思った。
予約しておいた九州の郷土料理を楽しめる居酒屋に入り、今までの自分の臭いの様々な体験…直近ではミネラルサプリが原因で起こった古プラ臭発生や、バイオスプレー実験等も含めた話を伝えた。
Rドクターは、真摯に私に起こっている事を聞いてくれた。
初めて会ったばかりだし相方から肩書を聞いていただけで実感が無かったが、その姿勢から本当にドクターなんだな。と感じた。自分の臭いの話を真剣に聞いてもらえる事自体、日本の病院ではそうそう無い経験だったのでとても嬉しく感じた。
バイオスプレー対策として、彼女は皮膚科専門医への受診を勧めてくれた。(私にそのアイデアは無かった為、その手があったか!と思い後ほど皮膚科を受診。詳しくは以下に記載しました。)
Rドクターは私の状況を聞きながら、私の臭いの問題に病気の要素が無いか、真摯に検討してくれていた。会う前にも相方に、病気で起こる体臭の文献をメールで送ってくれていた程だ。(相方の母国語の文献だったが医学的な専門用語が多くて難しくて読めないよ〜と言っていましたが)
彼女は、臭いがあるという事について先程の魚臭症の同僚の話を踏まえながら、「臭いがある、でもそれだけよ」何も気にしないよ。と言ってくれた。「臭うのは普通の事」だと。相方も「ほら、言ったでしょ、普通の事だって」と続けた。
メキシコは人の臭いに対して、ここ日本よりもかなり寛大な様だ。もしくは日本の「無臭化」傾向が強すぎる。のかも知れない。
何れにしろ、早々に私の様な存在の人を受け入れてくれているメッセージと捉えられ、気持ちに安堵感が宿った。
体臭と遺伝子について
彼女は私の体臭状況について遺伝子のエラーの可能性を考えてくれていた。
「遺伝子は、どんな事でも起こるよ。病名が付かない様な個々に起こる遺伝子のエラーが存在する事もおかしくは無い。そして、遺伝子のエラーにより手が無い、耳が無い、そんな状態で生まれてくる子供達もいる」と、小児科医ならではの現場での経験を語ってくれた。
そしてそんな中、お尻が無い状態で生まれてきたあるお子さんの治療の話をしてくれた。
彼女達治療班は、肛門を形成する大手術を行ったそうだ。そして腸と肛門を接続し機能させるその治療の中で合併症を発症してしまった時期があるそうだが、その時は腸内?からの強い悪臭が、その病院のフロア全体に広がってしまったのだそうだ。しかし医師は、現場の様々な経験により臭いには慣れている、とした上で「私達はどんな状況でも出来る限りの手を尽くす」と語ってくれた。ゆったり、おっとりとした口調の彼女から、医師である事への強い使命感と責任感の存在を感じた。
そして彼女は「世の中って酷いところよ。もちろん臭いについて心無く何か言われる事だってある。でもそんな人達は、”FUCK OFF”(失せろ)だよ。」と言った。
そんな人達なんて、自分の人生から蹴り出してしまっていいんだ、と。
「それよりも人生には素晴らしい瞬間や時間が沢山ある。目覚めの良い朝、曇りの無い晴天、旅先での見た事も無い風景との出会い…」そんな誰の日常にもある様な、素晴らしい
瞬間を楽しめばいいんだよと、言ってくれた。
彼女の冷静で、強く温かな励ましに、思わず私は泣いてしまった。
相方も泣いた。二人で、泣いてしまった。
そして私が体臭に悩み日本の病院を度々受診しても、真面目に相手にされず、精神的な問題とも受け取られてきた過去を話すと、彼女自身も似た経験をしてきた事を語ってくれた。
彼女には皮膚が柔らかくなる?症状があるのだと言う。そしてそれについて病院を受診しても「頭がクレイジーな人」という風にしか受け取られず、またすぐに命に影響が無い事と受け取られ、相手にされなかったそうだ。しかし、彼女は自身で医学や薬について沢山の勉強やリサーチを重ね、ついにそれが病気である事を自ら解明したのだと言う。そしてそれも、遺伝子に関わる病気だったのだそうだ。
Rドクターからのエピソード達が、どれだけ私を勇気付けただろうか。
医師から、こんなにも心ある言葉や思いやりを受けた事は、今まで無かった様に思う。
そして彼女は自分の勤務先に遺伝の専門医がいるので、メキシコに戻ったら私の事を相談してみるから、少し時間が必要だけど、ちょっと待っていてね。とまで言ってくれた。なんて心強い!!
こんなに素晴らしい人との出会いが、まだ自分の人生に残っていたとは。日本に旅をしに来てくれたRドクターには、もう感謝しか無かった。もちろん引き合わせてくれた相方にも。
遺伝子診療の門戸を叩く
そしてその後。
Rドクターは遺伝の専門医と話してくれ、それについて連絡をくれた。
その先生は私の状況について「硫黄の代謝エラーの可能性がある」との見解をくれた。
そして遺伝子の検査を受ける様に勧めてくれたのだ。
日本でその検査を受けるには…と遺伝の病院を探してみると、現在、様々な病院に遺伝子診療がある事に気づいた。
これ、過去同じ様に検索した時よりも増えていると感じる。(過去とは、体臭戦記②でも記載した代謝異常の検査をした2016年頃です) この時、代謝異常検査に何も引っかからなかった私は、それでもちゃんと医師に相談したく…当時ネット検索した際に見つけた神奈川の病院に電話をする事に。そして代謝異常に対応している小児科医と電話で話したが、検査結果を告げると「こちらでも行う検査は同じなので、同じ結果を告げる事になると思うけど」と、「来てもらっても…」という対応だったので、そうですか、と電話を切るしか無かった。医師に相談しても、扉を閉ざされる経験ばかりだった。
話を戻して、「遺伝子診療」の科が現在様々な病院で新設されている事に驚きつつ、通院に便利な、都内の某大学病院に連絡してみる事に。
今までの様に電話受付で断られる事も覚悟しながら、メキシコの遺伝の専門医の話も織り交ぜながら状況を説明。そして1時間の予約を取る事が出来た。
当日対応してくれたのは、女性の先生だった。私は今まで自分に起こってきた事、そして(初めて書くが)自分の祖父が似た状況だった事から、遺伝的な問題である事を疑っている事を伝えた。様々な話に対して、先生は「銀子さんが20年どれだけ苦労してきたのかが、よく分かった」と言ってくれた。
そして直近のバイオスプレーとの戦いの話もした所、先生はバイオ対抗策で使った薬の影響で、私の肌の状態が悪い事に気付き、労ってくれた。
こちらの話を信用して耳を傾け、理解や労わりの言葉までを日本のお医者さんから貰った事は今まで無かった為、気丈に構えていた心が砕け、またしても泣いてしまった。
この日は自分の状況…体の臭いの他、おかしいと感じている事柄を思いつくだけ伝え、今後の対応について検討頂く事で初回を終了した。
この診療は、残念ながら保険外となり今後もそれなりの費用が必要になる。でも、私は立て続けに素晴らしいお医者さん達に出会えた事に、想像もしていなかった喜びを感じている。
今後、治療を進めていく上で結局は確実な治療法が無かった、となったとしても。今までの体臭との戦いの中で、何かが大きく進化した気がしてならない。去年から今年にかけた体臭との戦いで酷く疲弊し、人生への希望なんてもう全く持てなかったけれど…
やっぱり生きていれば、いい事もある。
遺伝子のリサーチはまだ始まったばかり。今後の展開については、また内容がまとまり次第、記載していきたいと思う。
今回はこの辺で。
読んで頂き、ありがとうございました。
体臭戦記⑥に続きます。
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